6月21日は、アフリカ南部アンゴラからマダガスカル島にかけて、今世紀初の皆既日食が見られる予定になっている。今回は、約2分間の皆既継続時間が発表されており、太陽が月に完全に隠されている間、太陽の周囲に見える放射状の光「コロナ」や、漆黒の空に指輪の形に太陽光が輝く「ダイアモンドリング」などの美しい幻想的な天文ショーが楽しめる。
残念ながら、日本では今回の日食を観測することはできない。日本時間では、21日の20時40分から食が始まり、深夜までの約3時間が皆既日食の予定時間となっている。次に日本で日中に皆既日食を見ようと思えば、2009年まで待たなければならない。だからといって、今からアフリカ南部へ皆既日食観測ツアーの旅に出向くわけにもいかないだろう。
だが、世界的に注目されている今回の皆既日食は、さまざまなサイトがインターネットでライブ中継することを発表している。例えば、最も身近なところで言えば、和歌山県みさと天文台の尾久土正巳天文台長が実行委員長を務めるライブ! エクリプス実行委員会の「LIVE! ECLIPSE 2001」がある。日本語と英語の中継ページが用意され、中継映像の再生には、RealPlayer8/Windows Media Player7/Quick Time Player5が必要となる。
同委員会は、ザンビアのルサカ、ジンバブエのニャマパンダ、マダガスカルのラノヒラの3カ所に観測隊を派遣。各中継地点に複数のビデオカメラを設置し、太陽の全体画像、黒点が月に隠されていく様子、観測地の風景、月の影が西から東へ移動していく映像などをライブで配信する。4分割画面で3カ所の太陽像を同時に見せる画面を基本にしつつ、注目シーンでは1つの映像をズームで流し、BGMやテーマソングにのせてプログラムを提供することになっている。
1997年以来、これまでに皆既日食を3回、金環日食・皆既月食・しし座流星群を各2回にわたってインターネットで中継してきた同委員会は、最新の技術を駆使したプログラム展開を行っている。いずれも世界100カ国前後からの多くのアクセスを獲得してきた。
今回は、ニャマパンダからの映像はテレビ衛星中継車を経由して、ルサカとラノヒラからの映像はインマルサット衛星電話を使用して、まず東京のエンコーディング&ネットワーク・オペレーション・センターに集められる。その後、画像処理が施されてから、世界に向けてインターネットで配信される流れになっており、数多くのISPやストリーミング配信業者の協力を得て、最寄りのサーバーからユーザーに映像を届ける広域負荷分散技術が導入されている。ストリーミングの同時アクセスは、ピーク時に想定されている最高2Gbpsに対応可能だ。
他に世界的に有名な中継サイトとしては、米NASAの「Exploratorium」がある。ザンビアからの中継映像は、インターネット上で配信される(再生にはRealPlayerが必要)と同時に、約110の科学博物館や特設イベント会場でリアルタイムに流される。国際宇宙ステーションからのメッセージなども交えてプログラムが組まれており、世界各地からのアクセスが見込まれている。
世界に向けてスピーディに情報を配信できるインターネット。日本にいながらにして、アフリカ南部の皆既日食を臨場感あふれる映像で観測できる今回のイベントは、インターネットのもつ限りない可能性を体験できる絶好の機会となるだろう。
LIVE! ECLIPSE 2001
http://www.live-eclipse.org/
Exploratorium
http://www.exploratorium.edu/
NASA
http://www.nasa.gov/
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